2012年2月アーカイブ
イギリス映画の社会派の巨匠、ケン・ローチ氏の作品について、このブログの中東映画カテゴリーで書くことになるとは思わなかった。イラクで活動する民間軍事会社の暗部をえぐる「ルート・アイリッシュ」。ルート・アイリッシュとは、バグダッド国際空港と市中心部を結ぶ道路の別称で、映画では、「世界で最も危険な道路」と紹介される。
先日、知人に誘われて、この作品の試写会に行ってきた。カンヌ映画祭グランプリを受賞した「麦の穂をゆらす風」以来のケン・ローチ作品鑑賞である。
私が、初めてみたケン・ローチ作品は、1990年代後半に、東京の映画館「早稲田松竹」で鑑賞した「ケス」だった。少年の目を通じてリアルに描かれるイギリス社会に興味をひかれ、その後数年、イギリスにはまったのもこの作品がきっかけだった。
今春公開される「ルート・アイリッシュ」の詳細なストーリー紹介は、ここでは避けたい。「ケス」と同様、作品の結末にが、ケン・ローチが作品で常に示し続けている世界観のようなものが現れている気がする。正義を求めてもそれが報われることは多くない。現実にハッピーエンドはそうそうない。過酷な現実をこれでもかと示すことで、ケン・ローチは、人生というものを描こうとしているのだろう。
映画に重要な役どころで登場するタリブ・ラスール氏は、役柄の通り、アラブの弦楽器ウードを演奏するイラク人音楽家だという。クルド人のようだ。
